CDプレーヤー
CD-1. spec99
生産完了モデル
音楽の本質をそのまま伝えるCDプレーヤー
写真のCD-1にはオプションの脚が取り付けられています
商品名 | 発売時定価(税別) | バージョンアップ | CD-1.spec99 | \350,000 |
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コンセプト
かねてから、オーディオ機器で最も音質的な問題を大きくかかえている製品は、デジタル関連機器であると考えていましたが、その理由は「測定データ中心、ヒヤリング軽視」の「開発方針」にあると思います。いまだデジタルに移行せず、かたくなにレコードを集め続けるマニアの存在がそれを証明しているのではないでしょうか?
確かに「オーディオ製品の音質評価」を「一般消費者の手に委ねる」ことは「大きな問題」があります。だからといって「ソフトやハードメーカーがすべてを決めて」しまって良いとは思いません。それは、「現在の音楽業界」を見ていただければお察し頂けると思いますが、「経済」を重視すれば「芸術」がなおざりになり、「芸術」を優先すれば「経済」が駄目になるというように、「芸術性と経済性」とが「相反する」要因だと思えるからです。「芸術」に深く関りを持つ「オーディオ製品」の開発を、「すべて大メーカー」に委ねてしまって、そこに「芸術性」は息づくことができるのでしょうか?
AIRBOW/CD-1は「そうしたことへの反省」から生まれました。過去「オーディオ」は「インテリで裕福な人達(この言葉には抵抗がありますが)」の「知的で高尚な趣味」のはずでした。そして、そういう市場に向けて作られる製品は「目が肥えている=物事をきちんと評価できる」人達を満足させるに足る「価格やグレードに応じた、正当性のある価値と輝き」がなければ通用しなかったはずなのです。
しかし、現在の「オーディオ製品」は、「そのような輝きを失ってしまった」のではないでしょうか?「スイッチを入れるごと」に喜びを感じ、「所有することが正しいプライドを生む」。そのような「気骨のある音作りの製品」をはたして現在販売されている「著名なブランド製品」あるいは「売れ筋の音楽ソフト」から見いだせるでしょうか?
「CD-1」の音質を一口で説明して欲しい。そう言われれば、私は「音楽の本質をそのまま伝えられる音」胸を張って、そうお伝えしたいと思います。CD-1の音質は、もはや「音作り」などという安易な言葉では飾ることのできない、「私から音楽への深い謝意の表れ」とお考え頂きたく存じます。
電気的ノイズと物理的ノイズ(振動)を徹底排除
微振動を完全に排除するため、特殊制振材をメカ部とスタビライザーに追加。心臓部である、ベルト・ドライブメカニズム、シャーシ、モーター、スタビライザーに特殊制振材を追加、新規に施してメカニズムから発生する不要な振動を徹底排除。
ディスクドライブ機構のみならず、ディスクと直接触れるスタビライザーは、音質に大きな影響を与えます。コストアップにつながるスタビライザーの設計変更無しに大幅な高音質化を実現するため、CD-1の開発に際しましては、スタビライザーのチューニングだけで6ヶ月以上にわたる振動モードの分析と厳密な試聴に基づき、最適の制振材と配置を決定しました。(TL-5100/Zのノーマルスタビライザーのバージョンアップは、スタビライザー持ち込みの上、\5,000でお引き受けいたします)
回路のノイズを大幅に低減するため、超高音質コンデンサーを多数使用。トランスポート制御回路・デジタル信号復調回路に使用されているコンデンサーをノーマル部品に比べ、10倍から100倍高価なブラックゲートの最高グレードまたはOSコンデンサーに全数変更。
このような高価な電解コンデンサーを使ったオーディオ機器は、AIRBOW製品を除いて他に例がなくESOTERICの最新鋭モデル"P-0"ですらここまでのパーツは使用されていません。
しかし、音質向上用途にアフターマーケットで販売されている信号出力ケーブル・電源ケーブル等の販売価格を考えれば、回路で音質を大きく左右するパーツには、生産コストを度外視しても最高品質品を採用し、音質に万全を期すことが必要であると考えました。
AIRBOW新設計の高音質DACを搭載
音楽の表情を豊かに再現するため、4倍オーバーサンプリング・マルチビットDACを採用
よく「1ビットCDプレーヤが音は綺麗だけれど、表情が乏しく何となくつまらなく感じられる」と言うことを耳にします。それは1ビットDACが、多量の「デジタル・フィードバック」をかけ「測定上の歪みの減少」を計っていることと無関係ではありません。
同様の弊害は高帰還アンプにも見られますが、それは「正弦波の再現性」を主体に考えられたオーディオ理論が「パルス成分が中心の音楽信号」と適合していないことを忘れてしまった結果なのです。
このように「測定データの検証」に終始し「聴きながら開発すること」を怠れば再生音に躍動感の欠如、広がり感の不足など根本的な問題点を残してしまうのです。 これに対し、1ビットDACには不可欠な「ノイズ・シェーパー」等と称される高次のデジタル・フィードバック処理が不要なため、よりシンプルにD/A変換を行っているマルチビットDACがパルス信号を主体とした音楽信号の再現には適しているのです。更に、CD-1ではオーバーサンプリング・デジタルフィルターに現在主流の8倍ではなくあえて4倍を採用していますが、これもデジタル領域での処理をより「無帰還」に近付け「音楽の躍動感」・「高域の伸びやかさ」を失わないためなのです。
以上はデジタル領域での配慮です。アナログ領域では、音質に重要な役割を占めるローパスフィルターを問題点の多い「オペアンプを使ったフィードバック・フィルター」ではなく簡略な「CRフィルター・一段」に留めるなど配慮を怠っていません。
このようにDAC部の設計には、細心の注意を怠らずDA変換ICはもちろんのことすべてのパーツを厳密な試聴により決定し、この価格帯のCDプレーヤーでは不可能だった静けさと広がり感、伸びやかでナチュラルな高域の再現性を実現したのです。
革新的な基板実装技術により、極限まで回路の性能を追求
実験室で高音質の回路を完成しても、製品にその高音質が「そのまま反映」されなければ意味がありません。そのためには、ノイズレスで強力な電源とクリーンなアースラインが必要です。
電源回路はもちろんデジタル、アナログ、保護回路、3系統独立電源となっています。基板には強度の高いガラスエポキシの両面基板を採用。片面はベタアースとし、反面にφ2oの銅線を2本配置して、それぞれをデジタル、アナログ専用のアースラインとして用いています。更に、銅線に部品を直接配線することで、従来の機器にはない完璧なアースラインを実現しました。(アースラインは基板のパターンを通らず、すべてφ2oの銅線に接続されます)
そして、CD-1が真に革新的な部分は、DA変換ICを厚さ1oの銅板で基板にサンドイッチ状態でボルト締めしているところにあります。このようにすることで、ICに対し完璧な電磁シールド効果と、制振対策を実現できたのです。
低ノイズ・インバーター電源を採用
CD-1は、99年6月より「spec99」に進化し新発売されました。
CD-1からの最も大きな改良点は、DAC部への電源供給を殊なフィルター回路により可聴帯域のノイズを聴感上ゼロにしたインバーター電源を搭載することによって独立し、交流100Vをほぼ完全な直流に変換して供給している所にあります。また、電源の変更に伴い、3端子レギュレーターの廃止・デカップリングコンデンサーの変更・追加を行い各部の適正化を実施しています。
この改良により、従来やや押さえ気味であった「低音の量感が一気にアップ」したばかりか、現在発売されているCDではトップレベルの「締まりのある伸びやかな低音表現」を実現できました。
もちろん、CD-1の長所である「解像度の高さ、高域の繊細さ、ナチュラルさ、立ち上がりの早さ」なども大幅にグレードアップしています。
もはや、単体のCDプレーヤーではCD-1に敵はありません。
ベルト・ドライブ方式とマルチビットDAC
CD-1がベルト・ドライブ方式とマルチビットDACを採用している理由は、現在主流のダイレクト・ドライブ方式CDトランスポーターがデジタル制御機構をメカニズムの理想的動作を基準として設計されているため、「メカのがたつき」によって発生する複雑な誤差を予測し、正確に制御しきることができず、「メカのがたつき」がそのまま「歪み」となって音に出て、音をざらつかせてしまうためです。しかし、「ESOTERIC/P-0」のように、理想的なメカニズムを低価格で製作することは非常に難しいのです。
比較してベルト・ドライブ方式では、制御システムが「振動に対して過敏な動き」をしないために再生される音は、滑らかで刺々しくなりません。このように低価格で高音質の実現を考えた場合、ベルト・ドライブ方式が、より理にかなっているのです。
測定上「データーが悪い=歪みの大きい」マルチビットDACをあえて採用しているのは、1ビットDACが理想動作に必要とされるスイッチング速度に対応しておらず、高次のデジタル信号処理を行い、正弦波の再現性を念頭に「多量のデジタルフィードバック」を掛けるなどして、動作状況を簡略化しているため、「パルス成分の多い音楽信号」の再現には適さず、「瞬発力に欠け」音楽の表情が乏しくなりがちだからです。これに対してマルチビットDACは、高次のデジタル信号処理を行わないため「パルス成分」を損なわず「音楽の表情や躍動感」を素直に再現してくれるのです。
しかし、私が本当にお伝えしたいことは技術的なことではありません。私達が求めるのは「ハートに響く音楽」です。どれほど高度で複雑なテクノロジーも「音楽性の再現」に結びつかなければ意味などありません。CD-1を「CDでは音楽を楽しめない」とお考えの方に是非お聴きいただきたいと思います。「音楽」を聴くために、もはや「アナログかデジタルか」にこだわる必要は全くないのですから。
仕様
オーディオ出力 | RCA(アンバランス)0.85Vrms | デジタル出力 |
| 駆動方式 | ベルトドライブ方式CDプレーヤー | D/Aコンバージョン | Fixed 18Bit | デジタルフィルター | 4-times oversampling | ディ・エンファシス | デジタルフィルターによる | エラー訂正方式 | CIRC | カラー | ゴールド仕上げ | 消費電力 | 14W | 付属品 | リモコン付 | 寸法/重量 | 435(W)×100(H)×290(D)o / 9.8s |
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