心ゆくまで音楽(映像)をお楽しみ頂くための
詳しいセッティング方法について

実際のコンサートホールの音響特性

1968年に発売された、BOSEの901というスピーカーをご存知ですか?「前面に1つ背面に8つのスピーカーユニットを配置するという独特の構造で、オーディオ業界で最も注目すべき発明といわれ世界中の専門家、特に音楽家から高い評価を得た」とされている製品です。

901WB
BOSE 901WB
(現在のモデル)

構成

スピーカー本体×2本
専用イコライザー×1台

価格 440,000-(1SET)


発売当時の
モデル内部写真

このスピーカーには、1.5pのフルレンジユニットが「前向きに1個」・「後ろ向きに8個」ついていますが、それは「BOSE博士が、カーネギーホールの最も良いとされる席で直接音と間接音の比率を調べた所1:8であった」ことに由来しています。つまり、楽器からの「直接音が1」に対して「ホールからの反射音は8」もあったというのです。事の真偽は、明かではありませんが「BOSE901」というスピーカーの音場の展開やライブ感に独特の魅力があるのは事実です。

コンサートホールの音響特性理論をリスニングルームに当てはめる

今なぜこんな話題を持ち出したかというと、「リスニングルーム」においても、この「BOSE博士の理論」が重要なポイントとなっていることに確信を得たからなのです。

実際のコンサートを思い出してください。クラシックはもちろん、JAZZやROCKのコンサートでも「音に囲まれる感じのない後方や両端の席」では、思う存分コンサートを楽しむことが出来ません。当たり前ですが、それらの席のチケットは「音に囲まれ音楽を一番気持ちよく聴ける席のチケット」よりも「大幅に安い」のです。コンサートで臨場感を高めるためには、「リスナーを中心に前後左右から音が届く」ことがとても重要なのです。

コンサートホールの「残響音」が「演奏」に大きな影響を与えることは、一般に知られています。しかし、それを知っている人でも、オーディオ機器の音を聞くといえば、部屋の影響を全く考慮せず、「音質の変化はすべて直接機器に関わる問題だ」と考えているようです。しかし、実際にあなたが聞いているのは「オーディオ機器から出ている音(直接音)が半分以下」で「5〜8割近くが部屋の残響音(間接音)」なのです。従って、コンサートホールと同じような考え方で、この「間接音成分」をきちんとコントロール(調整)してやらなければ、絶対に良い音質は望めないのです。

では実際にどうすればよいのか?

理論や方法論はともかくとして、実際にあなたのリスニングポジションを「S席」にするための現実的な方法を考えましょう。ステレオ方式による音場の展開では、スピーカーが前に2本しかないので「音像が前に集中する」のは当然のことです。

つまり、リスニングポジションは「コンサートホールを後ろの方から覗いているような位置」でしかないのです。このポジションは、もちろん「S席」ではありません。再び、BOSE博士の言葉を借りるなら、「S席」では「スピーカーの音は1」で「部屋の反射音が8」でなければならないのです。そこで、リスニングポジションを少しでも「S席」に近づけるために、これまでは「反響パネル」の設置による、「コントロールされた反射音の発生」と「カーテンやマットレス」などによる「不要な反射音の除去」を組み合わせることを提案してきました。ここでまず「インシュレーターの置き方やスピーカーセッティングとルーム・アコースティックを極める方法」をおさらいしておきましょう。

音の濁りを減少するための重要なポイント

インシュレーターの効果的な使い方

 

私達は脳で音を聴いている

 普段は気に留めないことですが、振り返れば自分が興味を持つ音(例えば友人や家族の声など)を最優先に聞いていた経験は誰にもあるはずです。
 私達は耳に届いた空気の振動から必要な情報をとりだしたり、記憶と関連づけたりしながら、脳がリアルタイムに情報処理を行って音波(鼓膜の振動)を再構成し、音として聞いています。つまり、私達の聴覚は測定器のようにすべての音を公平(フラット)にとらえているのではなく、耳は個性にあふれ、合理的で利己的な選り好みをしながら「聞く音」と「聞かない音」をハッキリと区別しているのです。
 音楽を聴くときにも、この選り好みを体験できます。例えば、ギターの弾き語りを聴いているとき「ギター」の音だけを抽出して聞くことは、私達にはとても簡単です。しかし、相当高度な音響用コンピューターを使っても、リアルタイムに「ギター」の音だけを取り出すことは出来ないのです。これらの経験や働きはすべて「私達が脳で音を聴いている」証明なのです。
 当然、百人いれば百の聴覚は一つとして同じ特性ではなく、また同一人物であっても時間と共に耳の特性は刻一刻と変化しているのを忘れないでください。自分に聞こえる「音」が、同じように人に聞こえているわけではありませんし、先程も述べたように、同じ音が思いこみによりまったく違う音に聞こえてしまうことすらあるのです。

 オーディオの再生音の混濁感を改善し、分解能や空間の透明度、広がりなどを改善しようと試みるときには、この「選り好み」あるいは「抽出」という、人間の聴覚特有の働きを考慮することが大切です。混濁して聞こえるということは、裏を返せば特定の音だけを抽出しにくい状態なので、混濁感を減少させる(透明度を増す)ためには、音を分離して聞き取りにくい場面を考え、そうならないように音質を改善すればよいのです。

 でたらめに高額なオーディオ・アクセサリーを試すのは、健康食品や化粧品を価格で選ぶのに似ています。無駄な試行錯誤を繰り返し時間と金銭を浪費する前に、「ギター」と「歌声」をいとも簡単に分離できる私達の優れた聴覚がどういう障害により、音を分離できなくなってしまうのか、その理由を見いだして的確な対処法を論理的(科学的)に解明すれば、より早く「良い音を聞きたい」というゴールにたどり着くことができるはずなのです。

 

 

 

ホールにあるオーディオ再生のヒント

 人がたくさんいる「ホール」では、特定の人の話し声だけは、聞き取り辛いものです。ここに大きなヒントがあります。「類似する音は分離して聞き取ることが難しい」という点と「響き(残響)が多い環境では音を分離しづらい」という2点です。
 しかし、同様に残響の多いコンサートホールでも、腕のいい交響楽団の音は透明に分離して聞こえています。

 それは高度な技術を駆使して「作りだされた結果」であって、誰でもがそのように演奏出来るわけではありませんが、この「実演」とオーディオによる「再演」には、音響的に非常に密接した関係があり、その関係を解明できれば自室をコンサートホール並みの高音質空間に変えることが可能となるのです。

 

透明なエコーと、濁ったエコーの違い

 では、最初に「透明に分離したエコー」とは一体どういうものなのか考えてみましょう。オーケストラの生演奏を聴いているとき、たくさんのバイオリンの音の中から特定の奏者の音だけを聞き分けることはとても難しいことです。しかし、同じオーケストラでも異種の楽器の音や、トライアングルの音なら沢山の音の中からその音だけを分離抽出して、ハッキリと聞き分けることができます。異質の音は分離して聞きとれるのです。
 つまり、「同種・同質の音」の重なりは分離しづらく、エコーを濁らせる原因となりますが、「異種の音」なら重なっても濁りの原因とはならないのです。では、私達

は一体どのような音を「同質」だと感じ、どのような場

 「有毛細胞」による刺激の受け方を、皮膚感覚に置き換えてみましょう。腕の表皮に2本の指を1p程度離して軽く叩いても1本の指の刺激とは区別できません。つまり、隣り合うように近接している「有毛細胞」が同じように刺激されても、その刺激を別々なものとは感じ取れないのです。すなわち、周波数が非常に近い音を分離して聴くことは出来ないということです。

しかし、指の間隔を20p程度離して同じ刺激を与えれば、明らかに別々な刺激として感じられることから、二つの音波の周波数が離れていれば、私達はそれを「別なもの」と感じ取ることができることがわかります。
 また、指の間隔が非常に近くても叩くタイミングが違えば(刺激に時間差があれば)「二つの刺激」として感じられることから、聴覚が音を分析するときには、時間と周波数スペクトラムの関係が重要であることがわかります。

合に「異質」だと感じているのでしょう。
 人間が音をとらえるメカニズムを少し分析してみましょう。私達の耳には「有毛細胞」と呼ばれる毛の生えた組織があり、鼓膜を振動させた音波は「特定の有毛細胞の毛」を共鳴させるように振動させます。つまり、私達の耳は「色々な周波数に対応した音叉の集合体」のようなものなのです。

 たくさんの音が耳に入ったとき、音は瞬時に周波数別の振動エネルギーの分布に分解され、この周波数別の振動エネルギーの「分布の状態(パターン)」が類似している音を、私達は「音色がにている」と感じ、そうでないなら「異質な音」と感じているのです。
 つまり、音が耳に入った時、周波数スペクトラムが近い音波は分離しづらく、逆に、周波数スペクトラムが異なっていれば同時に耳に入っても分離できるのです。この音波に固有の周波数スペクトラムが「音のパターン」として記憶されるのです。この「記憶された音のパターン」の違いに注目しながら聴覚は、連続して音を分析しています。これが、「音を聞いている」という状態なのです。
 ですから、同じ声でも「周波数スペクトラム」の異なる「男性」・「女性」・「子供」の声は難なく区別できるのです。
 声に関わらず楽器でも、指揮者のすぐ側にいるバイオリニスト(コンサートマスター)の「バイオリンの音」が背後の大勢のバイオリニストの音に混ざらず聞きとれるのも、同じように「周波数スペクトラムの構造(倍音構造)」が異なるように演奏されているからなのです。

 ゴースト歪みの発生を抑える

 いよいよ本題のオーディオの音質改善に話を進めましょう。響きを分離しづらくする原因は、同種の音(近似する周波数スペクトラム)を持つ音だということが分かりました。異種の音、つまり再生音と無関係に発生している「ノイズ」は音を濁らせないのです。その良い例が「古いCDなどに録音されているテープのヒスノイズ」です。このサー音やシャー音は、私達が音楽を聴くときの大きな妨げにはなりません。
 しかし、機器内部やリスニングルームで音が反射して生じる音波は、私達の耳に届く再生音波のコピーなのですから、当然、再生された音と非常に近似する音響パターン(周波数スペクトラム)を持っています。しかも、反射により信号は遅延しているわけですから、ホールで大勢の人が一斉にしゃべるような感じで再生音をマスキングし、エコーを濁らせ、音を悪くする大きな原因となっているのです。

 この再生音が遅延して生じるエコーによる音質劣化を「ゴースト歪み」と名付けましょう。この「ゴースト歪み」は、先ほどのヒスノイズが大きな音量でも音楽をそれほど損ねないのに対して、聞き取れないほどの小さな音量でさえ音質を大きく損ねてしまいます。しかし、オーディオ機器の内部やリスニングルームでは、測定器では測れないほどの微少レベルの「ゴースト歪み」が様々な原因で発生しているのです。
 音を濁らす原因と理由は、ほぼ解明できました。次にオーディオ機器から音の出るプロセスを振り返りながら、「ゴースト歪み」を低減し、音を良くするための方法を考えてみましょう。

→歪み→

 

ゴースト歪みを低減するための筐体の設計 

 「ゴースト歪み」は、フィードバック回路などの「電気的な信号の遅延」からだけではなく、オーディオ機器のあらゆる物理的な接触点での「物理的な信号の反射、遅延」によっても発生しています。例えば、アンプを支える脚、筐体に部品を固定しているネジなどの金属接触部分では、「音響振動の遅延」や「共振」、「接触面の鳴き」による「ゴースト歪み」が発生しています。
 この歪みの発生原因は「接触面での振動による音の反射」が主因であると考えられるので、接触面の「振動」を何らかの方法で抑制することができれば、音質の透明度は大きく向上するはずです。
 しかし、振動を抑制するといっても「振動面に柔らかい材質」のゴムなどを使えば、「物理的な振動発生の基点となる物理的なアース(振動の節)」がグニャグニャと不安定になるため、「音の
芯」がなくなったり、もやもやとぼけた音になってしまうでしょう。

 この「La Muse」は、ベースオイルのスクアランが「音響ダンパー」として働き不要なノイズだけを効果的に抑制し、地上で最も硬いピュアダイヤの粒子が接触面の隙間を埋めて振動を抑制し、さらにカーボンコーティングダイヤモンドの働きで電気的な導通も改善出来るという、非常に合理的ですぐれた液状音質改善アクセサリーなのです。
 2001年にブラックメタル製の「ワッシャー(φ3mm/4mm)」が発売されました。これはネジをブラックメタル製に取り替えるよりも安価にすみ、また特殊な長さや形状のネジに対しても、ネジ穴の大きささえ合えば使えるなど汎用性が高くなっています。効果はネジを取り替える場合よりは、若干低く感じますが、このワッシャーを使って「制振対策」をおこなうことで、音のにじみや濁りを大幅に軽減することができます。
 
しかし、このワッシャーも使いすぎると機器内部での「エコーの発生」が完全におさえられ、再生される音楽が無響室でスピーカーを聞くようなモコモコと生気のない音になってしまいますので、くれぐれも度を超さないように加減に注意してください。

 そこでTERAやLUNAでは、最も振動を受けやすい出力ICの固定に、金属の強度とゴムのような振動抑制力を併せ持つ「ブラックメタル」という素材を使用しています。ブラックメタルを使えば、「物理的なアース」の安定度を低下させることなく、「濁り」だけを消去することが可能なのです。

また、ブラックメタルを使用できない箇所には、AIRBOWとクリプトンの共同開発により生み出された、「La Muse」(ラ・ミューズ)を使用しています。「La Muse」は、すでに発売されているカーボンダイヤトニックと同種の製品ですが、ダイヤをコーティングしているカーボンの柔らかさが響きを消しすぎることに注目し、「大量のピュアダイヤモンド」をカーボンダイヤトニックに混入することで、接触部分の隙間をダイヤで固定し「物理的アース」の安定度を確保するように配慮されています。

 

 


La muse 5cc
¥7,500


クリプトン社
ブラックメタル
KA2503
¥21,000/8個

 

制振ネジ

φ3o・φ4o

ワッシャー

φ3o・φ4o

 

響きを消すだけでは、音は良くならない 

 筐体や回路での「鳴き」の発生をおさえるために、ネジやワッシャーを取り替えるためには、オーディオ機器をばらさなければならず、専門的な知識が必要とされます。しかし、筐体の「響き」は「脚」を介して大地に「物理的にアース」されていることを忘れてはいけません。
 つまり、「脚」の材質と取り付け位置は、筐体の「響き(鳴き)」に大きく影響しているのです。いわば車のサスペンションに相当しますから、この「脚」をチューニングすることは「ゴースト歪み」を低減し、音質を向上させるための良い手段なのです。では、どのような「脚」が「ゴースト歪み低減」に有効なのかを考えましょう。
 結論から先に述べるなら、インシュレーターに求められるのは「振動を抑制する能力」ではなく「響きを調和させる能力」なのです。響きを抑制するためだけなら、

ブチルゴムやソルボセインなどの響きを完全に吸収するゴム系のインシュレーターが最適だということになりますが、振動を殺すだけでは音の生気が殺がれ鬱々としたおもしろみのない音になるというのは前述したとおりです。
 また、このような柔らかいインシュレーターは、音の輪郭成分である「パルス性」のエネルギーの「角を丸く」してしまうので、明瞭度が低下して音がもやもやしたり、一聴すれば濁りが取れたように感じられても、濁りと共に「空気感」や「音楽の気配感」なども一緒に消されてしまうことが多いのです。 結果として、音楽をつまらなくしてしまうことがあり、そのような考えで作られているアクセサリーは選ばない方が無難です。また、これらの製品を試聴する際には「音の細やかさや、気配が失われていないか?」に十分注意してください。

 

インシュレーターの選び方

 柔らかい材質のインシュレーターやボードの音が良くないという説明をしましたが、ではどのような特性を持つ製品がインシュレーターやボードに適しているのでしょう。
・筐体をブレさせずに強固に固定できる「強度」
・伝わる振動を嫌な形で反射させない「響きの良さ」
・筐体全体の響きを整える「響きの調和」

 まあ、だいたいこの3点をおさえておけば、概ねインシュレーター選びは間違いないと思います。
 第1番目の条件の「強度」を満たしているかどうかは、インシュレーターやオーディオ・ボードを拳などで叩いてみればすぐにわかるでしょう。鈍い音が返ってくるような響き方をする製品は強度が不足しています。

しまうのです。T社のラックやオーディオ・ボードがこの良くない代表にあげられますが、それなのに薦める店や雑誌が多いのはどういうことなのでしょう?

2番目の「響きの良さ」も簡単にチェックできます。ボードを叩いたり、インシュレーター同士を軽くぶつけて響かせたときに「感じられる響き」がその製品の固有の音なのです。楽器に使われるような、「響きの良い木」や「響きの良い金属(真鍮)」などは多少その材質が「鳴く」ことがあっても「心地よい響き」なので、再生音に不愉快な響きを生じさせません。ただし、これも程度問題で「強度」や「形状」が適切でないと、響きが強くなりすぎ、再生音に「ボードの固有音」という癖をつけてしまうので注意してください。
 3番目の「響きの調和」の説明は少し難しいのですが、すべての物質は「整然とした結晶構造」を持たない限り必ず「材料の中に何らかの不均一性」があり、その密度や構造の境界面(変わり目)で「音を反射したり歪ませたりする」ことがあるのです。合金や合成樹脂などの人工材料にも、「木目のようなもの」があるとお考えいただければわかりやすいかも知れません。

 市販のオーディオラックの「棚板の音質チェック」にもこの方法は使えます。ボードを叩いたときに、ボーンと響くような製品やパンという高周波の音が反射して聞こえるような製品は選ぶと後悔するはずです。ゴンッという詰まった重めの音がするのが、基本的に選んで失敗の少ない製品です。低密度のパーチクルボード(集成材)を使ったボードはあまりよくありません。音がスカスカになってしまいます。

一番良くないのは、振動吸収力の弱い「密度の低い材質」の上に「密度が高く薄い材質」を貼り付けている「オーディオ・ボード」や「棚板」です。それは、あたかも「太鼓」の上にオーディオ機器をのせるようなもので、表面の材質の響きがそのまま再生音に盛大に反映されて

楽器が木目の方向を揃えないと良い音が出ないように、インシュレーターもその材質の「方向性」を揃えてやらないと、「空間の広がり」や「音の自然さ」に支障をきたす場合があるのです。
 もし、素材自体が「ダイヤモンド」のように、整然とした「結晶構造」を持っているなら、この「結晶の向き」に沿って振動が流れるように配置すれば、理想的なインシュレーターになるはずです。
 もちろん、この(1),(2),(3)の条件を満たせば「絶対によい製品」であるという保証はできませんが、逆にそのどれかの条件でも欠けているなら、どんなに立派な解説がついていても、その製品が「最良の製品である」という可能性は低いでしょう。 

 

人造大理石ボード

35*45*0.8 \2,200

35*45*1.6 \3,500

44*49*0.8 \3,000

44*49*1.6 \4,500

 

 

お薦めのインシュレーター

 硬くて響きの発生が少ない理想的な材質は「ブラックメタル」でした。ブラックメタルを素材に使用した様々な「制振グッズ」が発売されていますが、いずれも効果が確実で人気も高いようです。しかし、このブラックメタルでは「響きの調和」という部分に若干の問題が残ります。(もしブラックメタルのインシュレーターの表面にマークをつけて方向がわかるようにして、インシュレーターの方向を90度程度回転させれば、音の広がり方などが変わることがわかるかも知れません)
 そこで、「響きの調和」を重視している製品として注目しているのが、「ローゼンクランツ」のインシュレーターです。この製品は、強度が十分にあり響きも美しい「真鍮」を母体とし、真鍮と真鍮の間に「極薄いハンダの層」を設け、その厚さを1/100mmの精度でチューニングすることで、「振動吸収量」が調整されています。さらに 「ローゼンクランツ」製品は「素材の響きの方向と響きの中心」を一致させることで素材固有の鳴きを大幅に低減させる工夫まで怠っていません。これで(1)と(2)の条件は満たしました。
 次に「響きの調和」という命題に対して、ローゼンクランツ製品は、金属の水平垂直の響きの方向を管理するという方法でこれをクリアーしています。これらすべての条件を、高次元で満たしたローゼンクランツのインシュレーターの音質が、同種の製品の中でも飛び抜けて優秀なのはそのためです。
 また、AIRBOW製品の中で、その動作が最も楽器に近い波動ツィーターの「脚」は、他の製品よりも音質に遙かに大きな影響を与えるため、このローゼンクランツのインシュレーターを採用しています。
廉価でも高音質を楽しみたいという、ユーザーの要望に応えてCLT−2の脚と同時に開発(同時開発により開発費のコストが低減できます)されたのが、「ローゼン
ンクランツPB−BABY」です。その形状は「音の響きを調和させる」ため、素材の中での音の広がりを十分に配慮した上で、入念な試聴により決定されました。もちろん、形状だけではなく真鍮の水平及び垂直方向の響きも完全に管理されて生産されるため、見かけは厚みのあるただの真鍮のコインのような感じですが、その音質は同価格の他メーカーのインシュレーターとは比べものにならないほど優れているのです。

しかし、厳しい管理工程のすべてが、文字通り人間の手によって行われるローゼンクランツのインシュレーターの工法では、BABYよりさらに廉価な製品を作ることが困難なため、さらに廉価な製品として「木材」を材料にしたインシュレーターの企画をローゼンクランツに依頼したところ、「天然木を材料にしたインシュレーターは考えていない」ということでした。
 そこで「ローゼンクランツから学んだ、響きが調和する最適な形状を持つ木製のインシュレーターをAIRBOWブランドで製作しても良いか?」と尋ねたところ貝崎さんの快諾が得られたので、「ローゼンクランツの類似形状を持つ黒檀削りだし」のインシュレーターをAIRBOW製品として2001年6月に発売しました。(WOOD-BOY \2,000/1個)

この製品は、超高性能を出来るだけ安く提供するため凝った作りの合成材料ではなく「資質の良い天然素材」を材料にし、様々な素材をテストした結果、強度が高く嫌な響きを出さない「良質な黒檀」を選び出しました。ただし、天然黒檀とはいっても、この製品に使用しているのは、伐採後5年以上乾燥させた非常に良質な黒檀です。

そして、「響きの調和」を計るために何種類かの形状をテストしましたが、結局木製でもローゼンクランツ製品と同じような形状(ローゼンクランツ承認済み・無断コピーではありません)がベストでした。結果としてインシュレーターにより響きの調和を計ろうとするなら、形状は材質に関係なく「ローゼンクランツ型」に行き着くということを再確認することにもなりました。

さすがにこの価格では、方向性までチューニングできませんでしたが、「かすかに見える木目」の方向を揃えることで、この問題に対処することができます。(この素材の方向性による音質の変化は、金属よりも素材の不均一性が高い「木材」を使用しているため、比較的大きくあらわれます)
 天然素材の長所を生かし、数多くの試作より形状の最適化が図られたこのインシュレーターは、音質改善効果が大きく、また設置位置などによる音質の差が少ないので使いやすいという特徴を持っています。ねらい通り、入門者をはじめ、多くのユーザーに自信を持ってお勧めできる「逸品」に仕上がりました。

AIRBOW

WOOD−BOY黒檀

¥2,000/1個

WOOD−BOY紫檀

¥2,000/1個

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近取り扱いを始めた「極・義経」
透明度の高い音が特徴。

\85,000(4pieces)
\65,000(3pieces)

ディンプル加工サービス

おなじみローゼンクランツの
新製品「JAZZシリーズ」
BIG-JAZZ
\30,000(1piece)
DADDY-JAZZ
\22,000(1piece)

山本音響工芸

アフリカ黒檀ブロック
手軽で良い音

QB3(34o角) \2,000(4pieces)
QB5(43o角) \4,000(4pieces)

ローゼンクランツの
エントリーモデル「BABY」

スパイク受けにベストです
BABY-ECO
\2,200(1piece)
BABY-BR
\2,000(1piece)

 

 

インシュレーターの設置方向

 さて、最適なオーディオ・ボードとインシュレーターの選び方はわかりました。では、効果的なインシュレーターの設置方法を考えましょう。  

 左図のように、響きは一点から自然に広がるように入るのが理想です。このような振動の伝播では、頂点から入った「響き」が反射して戻るときにも「頂点」から戻る(中央図)ため、「響きに濁り」が生じにくいのです。しかし、これを逆にすると右図のように響きが入った所にきちんと戻らないことが原因となり、音を濁らせる場合があります。
 しかし、このモデルはあくまでも理想です。「重量のある筐体」や「木製の筐体(スピーカーなど)」では、接触面積の小ささが災いし、強度的な問題で左図のような形に、インシュレーターを設置することができない場合があります。また、円筒状や立方、直方体などのインシュレーターにはとがった部分がなく、右図のように、「平面同士」を接触させ、筐体を支えなくてはなりません。
そんな時には、右図の円錐の底面に相当する「インシュレーターと筐体の接触面」に「がたつき」が生じないように、できるだけ密着するよう注意しながら設置してください。がたつきがあると、その部分で音が反射したり、歪んだりして音を濁らせる原因となってしまうのです。

3点支持がおすすめ

 よくインシュレーターを3点で使用すればよいのか、あるいは4点がよいのかという相談を受けることがあります。結論は、ほぼどのような場合でも3点が有利です。なぜなら、3点支持では、3つのインシュレーターへ均一に荷重が分配されるので機器の重心が移動せず響きが安定するからなのです。
 
4点支持では筐体が振動することで、各々のインシュレーターへの荷重が変化し、機器の重心位置が定まらず不安定になってしまいます。そのため、響きの中心位置と重心位置の関係が安定せず、機器の響きの調和に悪影響を及ぼして音を濁らせる原因となるのです。どうしても置けない場合を除いて、インシュレーターは、3点支持がお薦めです。
 しかし、インシュレーターを3点にする場合には、3角の頂点の方向をどのようにするか決めなくてはいけません。
 響きの中心位置(振動モーメントの中心)とインシュレーターの位置関係は、音響エネルギーの生成方向に非常に大きな影響を与えています。音響エネルギーは中心位置からインシュレーターの方向へ向かって「抜けるように進んでゆく」とお考えください。これが、頂点の方向を決めるときのヒントになります。

例えば、スピーカーを3点支持する場合のインシュレーターの設置位置と、音の広がり方向の関係について説明しましょう。まず三角形の頂点がリスナー側(インシュレーターは前一点、後ろ二点)に向いている場合には、音場はリスナーを頂点とする二等辺三角形(正三角形)の形に展開されます。ボーカルや楽器の位置を前に出したい場合には、このような設置方法がお薦めです。
 逆にインシュレーターを前二点、後ろ一点に使用した場合は、リスナーを底辺にするように逆三角形を描くように音場が広がります。スピーカーの後ろに音場を展開し、奥行き感を出したい時には、こちらの設置法がお薦めです。このインシュレーターの設置位置と重心位置との関係は、アンプやCDプレーヤーにもある程度適用が可能です。

インシュレーターの設置位置と音の広がりとの関係

上側がリスナーだとすると、左の置き方で音は前方に、
右の置き方では音は左右に広がります。

最適なインシュレーターの設置位置

 シンバルを叩くときに中央付近を叩く場合と、外周付近を叩く場合では、音質がまったく異なります。同じことが、オーディオ機器の筐体を支えるインシュレーターの設置位置にも当てはまります。つまり、インシュレーターを底板のどこに設置するか?その置き方次第でその機器の音質は驚くほど変わってしまうということです。
 ギターやバイオリンの弦が振動する様子はご存じだと思います。全体が一度に前後に動くのではなくて、両端あるいは全体の長さが割り切れる位置は静止しており、その場所を振動の基点として弦は振動しています。弦のように細長いものではなく、シンバルや筐体の底板のような平板が振動するときにも、弦の振動と同じように、「振動する場所」と「振動しない場所」にわかれています。この時、静止した振動の基点となる場所が振動の「節」と呼ばれています。
 「節」は振動の基点なのでそこを打撃した場合、与えられた振動(運動)エネルギーは、「最大の効率で一瞬にして振動体全体」に広がります。すなわち「節」を振動させるためには「振動体全体が前後に振動するほどの大きなエネルギー」を加えないといけないということなのです。つまり、この一番動きにくいポイント(一瞬の打撃で素材すべてを動かすのは難しい)である「節」に打撃を与えた場合は、最短の時間で打撃エネルギーが分散するため、素材自体の音はあまり響かずコツンと堅い音がして響きも短時間で消えてしまいます。
 

 この「節」に正確にインシュレーターを設置すれば、筐体の減衰力が最大限に発揮されると共に、振動エネルギーの偏りから生じる「不快な共振」の発生が最小限におさえられ、機器の響きが綺麗に透き通り、明瞭度や音の広がりが大きく改善されるのです。インシュレーターは、この「節」に設置しないと音質向上効果が望めないばかりか、逆に音を悪くしてしまうことがあります。オーディオ機器の脚が取り付けられている底板や、スピーカーの底板、筐体を構成するパネルなど、あらゆる素材に振動の「節」が複数存在しますが、この「節」を見つけるのは比較的容易です。素材に打撃を与えて一番響きの堅い位置(一番響かない位置)を探せばよいのです。拳や鉛筆などの先の尖ったもので底板をコツコツと叩きながら、響きが最も早く収束する位置(一番詰まった音のする所)が見つかったら、そこが「振動の節」なのです。 「節」と「節」の間には、素材が最も大きな振幅を繰り返す場所があります。これを「振動の腹」と呼んでいます。こういう位置に脚や回路を支える柱を取り付けると音を濁らせるので、極力避けなければいけません。逆に、レゾナンスチップなどの「振動を抑制するアクセサリー」なら、この「腹」に設置するのがベストです。
 筐体の振動の「節」が、良質なインシュレーターで固定されれば「音の芯」と「残響成分」が綺麗に分離し、音楽は澄みきった広がりを持って非常に繊細に聞こえるようになるのです。

細やかな配慮で音は10倍良くなる

音を消さない配慮が大切

 このような細かな配慮を物理的にも電気的にも行って、壊れやすいものを取り出すようにCDディスクから音楽信号を読み出せば「現行CDソフトですら人間が聴きとれるほぼすべての情報」が記録されているに近いと断言出来るほど、驚くべき情報量の音が収録されています。それが理想的に取り出された状態では、部屋の広さに関わらず、まるでプラネタリウムの中にいるように透明で歪みの全くない空間が出現し、リスナーは360度方向から降ってくる音に包み込まれるような感覚にとらわれます。
 逆に、情報量が向上したといわれるSACDやDVDオーディオでも、こういった細やかな配慮を行わない場合「音質は現行CDソフトの足元にも及ばない」のです。
 オーディオの音質向上の鍵は、すでにハードウェアの進歩に依存する部分よりも使用環境などの改善に依存する部分の方がすでに大きくなっているように思います。 ユーザーの使用環境などを考えず、ハードウェア優先の技術開発を続けてきたメーカー主導のオーディオ機器の開発や販売が行き詰まる反面、高額なアクセサリーに人気が集中して売れているのがそれを裏付けているのではないでしょうか。
 生演奏から得られている経験とオーディオ機器を使った様々な実験により、オーディオの音質劣化の「原因」は、ほぼ究明出来ました。しかし、問題に対する対処法は千差万別であり、「一つの手法ですべてが解決する」などということは絶対にあり得ません。それどころか経験上「音質向上を妨げる最も有害な原因」は、一つの手法に固執するあまりより重大な音質劣化の原因を見落としたり認めなかったりするケースがほとんどなのです。 ブランドや価格、データや謳い文句はまったくあてになりません。信頼できるのはあなたの耳と、科学的根拠に基づく確かな理論しかありません。曖昧なものに大金を投資して後悔する前に方法と結果、価格と効果の度合いなどスッキリ整理しておいて欲しいのです。

俄には信じがたいと思うのですが、あなたがお聞きになっているオーディオ機器は、あなたに聞こえている何倍、場合によっては何十倍もの情報をすでにスピーカーから再現しています。スピーカーに耳を近づけてすぐ側でその音を聞けばわかるはずです。最高級のコンデンサーヘッドホンに匹敵する細やかな音が、すでにスピーカーからも再現されているのです。

しかし、エンクロージャー内部での不要な共振や反射、バッフルによる反射や回折、リスニングルームでの反射や回折などに起因する「有害な歪み」により音が濁りに埋もれたり、打ち消されたりして大部分の情報がマスキングされリスナーに届いていないのです。オーディオ機器を買ってセッティングを何もしていないなら、どう見積もっても機器に投資した10%以下の音しか出ていないと言う確信すらあります。
 インシュレーターの変更や設置方法の検討ですら、驚くほどの音質向上効果が得られるのは、すでにお使いのインシュレーターの設置方法を再検討したり、ミスティックホワイトなどの補助アクセサリーを組み合わせてお使いになればご体験いただけるでしょう。

もちろん、スピーカーや電源ケーブル類も大切です。ケーブルでは「AET:GAIA/TITAN/6N14G」・「S/Aラボのハイエンドホース3.5」などをお試しください。高額な海外製ケーブルの誘惑から、スッキリと目覚めることが出来るはずです。
 機器のセッティングで驚くほど音が良くなることを経験されたなら、もっと大きな確信を持って欲しいのです。

インシュレーターやケーブルでさえこれほどの改善効果が得られるのだから、「スピーカーのセッティング」・「音の濁りに直接作用する部屋のエコーの歪み(ルーム・アコースティック)」をきちんと調整できたら、一体どれほどの音質向上効果が得られるのだろうか!?それは、あなたの想像を遙かに超える、驚くほど大きな効果があるのです。

ステレオ再生のポイント

スピーカーのセッティングを見直そう

左右のスピーカーの音を正しく合成しよう

 20世紀初頭にオーディオが発明されてから、1950〜1960年頃まで録音方式はモノラル記録(1Ch)で行われていました。その後、さらに豊富な情報を記録するために記録方式はステレオ(2Ch)になり、音声が「左右という二つの信号」に分けられて記録されるようになりました。

 ステレオ方式による音声記録では最低でも2本以上のマイクを使用するため、「一点で録音」された音声を「一点で再生」するモノラル方式とは違い、録音時と再生時の「音の広がる方向」などの条件を同じにしておかないと、再生時に録音時と同じ「音の広がり」が正確に再現されなくなってしまうのです。
 つまり、「記録時にマイクをセットした条件(指向
などの条件)」と「再生時にスピーカーを設置する条件(指向性など)」が一致しなければ、空間のイメージが完全に元に戻らないのです。そのため、安易なマルチマイク録音のソフトでは「再生時に音が綺麗に広がらない」、「楽器の音が混濁する」などの問題が見受けられます。


(残念ながら、現在もステレオ録音はきちんとした規格に基づいてマイクの位置が定められた上で録音されているのではありません。21世紀にスタートする最新フォーマットのSACD・6Ch録音では、スピーカーの設置位置と角度の関係が定められました) 

スピーカーには指向性があり、スピーカーから出た音は均一に広がらず、場所によって「音量差」が生じています。もし、私達がほんの僅かな「音量差」でも感じとれるなら、左右のスピーカーから出た音が広がる「方向」や重なるときの「タイミング(重なるところまでの距離)」をきちんと合わせておかなければ、「空中で音が重なるときの僅かな左右の音のズレ(音の大きさに違い)」に違和感を覚えるはずです。
 つまり、左右のスピーカーの位置関係がきちんと合っていないと「空中での左右の音波の合成」が上手くいかず「左右の音が重なったときに音が濁って(音が歪んで)」しまうのです。
 試しにモノラル音源(音楽)を左右個別のスピーカーで聞いた後、両方のスピーカーを同時に鳴らして、同じ音源(演奏)を聞いてみてください。左右個別にスピーカーを鳴らしたときよりも「音が濁って」感じられませんか?もし、そう感じられたなら、それは左右のスピーカーの音が「正確に合成されていない」ために生じている濁り(合成時に歪みが生じている)なのです。
 私達、逸品館のプロフェッショナルは、少しでもいい音を聞いていただきたい一心で「この音の濁り」をなくすため、何時間も、あるいは何日もかけてスピーカーの位置を「経験と聴感を頼り」に非常に精密にセットしたのです。
 

しかし、イベントがあれば否応なしにそのスピーカーを一旦片付けなければなりません。せっかく入念に位置決めしたスピーカーの音が変わるのが嫌で、設置場所にマークをつけ、相当神経質にスピーカーを「元の場所」に戻すように注意をしているにもかかわらず、一度スピーカーを動かしたが最後、良かったはずの音が決して元には戻らないことが度々ありました。

スピーカーの設置位置はかなり正確にマークしてあるため、前後や左右方向に1o以上ずれるということは考えられません。では、いったいどんな原因でスピーカーの音が変わってしまったのでしょう?

 それは、こういうことです。スピーカーから出る音をレーザー光線のように直進性の強い光だと考えてください。
 もし、スピーカーが正しい角度で二等辺三角形の底辺に設置されているなら、スピーカーから出た光は「三角形の頂点C」で「まったく同じ長さ(距離):A=B」で交わります。(図左)この関係が成立する条件では、左右の音波は「位相が一致した状態(左右の音の大小のタイミングが合った状態)」で合成されることになります。

 しかし片方のスピーカー(B辺)の角度がほんの少し変わるだけで、直進した光が「ぶつかりあう交点(頂点C)」までの「長さ(距離)が大きく変わって:A≠B」しまい、「左右の音波の位相が一致しない状態(左右の音の大小のタイミングがズレた状態)」で合成されてしまうのです。
 小さな設置位置の違いが、これほどまでに大きな音質差を生み出す原因はこれ以外には考れません。音が出て(ユニットの位置)から音がぶつかるところ(三角形の頂点)までの距離が等しくないと、指向性を持つ音波の位相がズレ(音の上がり下がりのタイミングがズレ)て重なるため「音波の合成」が上手くいかないことが問題となっているはずなのです。

 

レーザー光線を使った精密なセッティングに大きな効果

 そこで、この誤差を限りなく「ゼロ」近づけるために、次のような方法を考案しました。レーザー光線の直進性を利用してスピーカーの位置決めをおこなうやりかたです。こうすることで、スピーカーから出る音は「正確な位相で重なって合成」されるはずです。

 結果は素晴らしいものでした。音の広がりはもちろんのこと、「合成される二つの音波の位相が合致する」ことで、音の鋭さや、レンジ感までも改善され「驚くほど音質が向上」しました。 それまで、何日もかかっていた「ベストセッティング」が一瞬で完了したのです!

まず最初は、にスピーカーの左右の側壁に「レーザーポインター」を沿わせ「発射させたレーザー光を一点で交わるようにスピーカーの角度を調整」し、さらにスピーカーとレーザー光の交点までの距離を合わせるというテストを行いました。

その感激と興奮はすごいものでした。続いて、デモ・ルームに設置されている全部のスピーカーをこの方法でセッティングし直し、その「大きな効果」が偶然でないことを確認したのです。

AIRBOW レーザーセッター

¥19,000(三脚付き)¥15,000(三脚無し)

レーザーセッター誕生

 しかし、この方法にはまだ少し欠点がありました。ひとつは、「レーザーポインターに光軸のズレ」があり、ポインターの当たりはずれで、思いの外大きな角度誤差が生じてしまう場合があること。もう一つは、「垂直方向の角度のズレ」を調整できないこと。

 そこで、スピーカーからレーザー光を発するのではなく、リスニングルームの任意の一点を「基点」とし、そこからレーザー光をスピーカーに取り付けた「反射板」めがけて照射し、反射してくるレーザー光を正確に「基点」に戻すことで、精度を向上させる方法を思いつきました。こうすれば、「基点に対するスピーカーの水平と仰角の角度誤差」を「限りなくゼロ」に近づけることができるのです。

 角度誤差をゼロにした後に、「基点」と「反射板を取り付けたスピーカーのバッフル面」までの距離を左右で同一にするため、伸びの少ない紐を使い、基点とそれぞれのミラーまでの距離を合わせれば、左右のスピーカーから出た音は「ほぼ完全な同位相で合成される」はずなのです。

レーザー光線とミラーと紐を使って位置を決める

 この方法で左右のスピーカーの水平及び仰角の角度誤差を完全にゼロに、距離誤差を数o以下まで追い込んでから音を出したところ、先ほどのやり方よりも遙かに改善効果が大きく、ついにスピーカーは完全にリスリングルームから消え、眼前には未だかつて経験したことがない「広大な音場空間」と「明瞭な定位」が実現されたのです。

 また、先ほどと同じように「音の広がり」だけが改善されたのではなく、音の立ち上がりが鋭くなり(音の切れ味や音抜けが大きく改善され)「音楽の躍動感」や「ダイナミックレンジ」、「低域のもやつきも」など、音楽を楽しむために重要な要素すべてがさらに大きく改善されたのです。また、リスニングポジションだけではなく、部屋全体の音質が一気に改善されたことも大きな驚きでした。

 この方法により正確に位置決めされたスピーカーの音を聴いた後では、従来のセッティングによる音は、モコモコしてレンジが狭く、スピーカーの周囲に音がへばりつき、広がりと生気のないつまらないものに感じられてしまうようになりました。もはやこの方法以外でスピーカーをセッティングすることはできなくなったのです。

  しかし逆に、水平と仰角の角度誤差が少しでも生じたり、たとえ角度誤差がゼロでも、距離誤差が数oを越えてしまうと、途端に改善効果が失われてしまうこともわかりました。

 このすばらしい効果を誰でも簡単に実現できるよう「レーザーセッター」と名付けた「スピーカー位置決め装置」を「クリプトン」と合同で製品化しました。

 この、レーザーセッターの効果を実際に御体験いただくべく、何度かオーディオ・エキスポ・A&Vヴィレッジのブースにて実演を行った結果、たった5分ほどのスピーカーの調整の後、音の世界がまったく変わってしまうことを会場にいらっしゃったお客様全員に御納得いただけたのです。

レーザーセッターの理論

音が均一に混ざらないことが原因?

 では、なぜスピーカーの位置がほんの少し違うだけでこんなにも音が変わってしまうのでしょう?もう少し詳しい説明をしたいと思います。

 もし、スピーカーが無指向性なら、波紋はすべての方向に「完全に均一」な状態で広がってゆきます。(A図) 

A図

B図

 このように、スピーカーから広がる「波紋(音)が均一」なら、空間で二つの波紋がぶつかり、B図のように波紋が重なった後も(音波の重なり方に)大きな乱れは生じないことがわかります。

C図

 しかし、現在主流のほとんどのスピーカーには「バッフル」があり、その「バッフル」が音を遮り、また音を反射しスピーカーから広がる音に「強い指向性(方向性)」を与えています。(C図)

 D図

 このように、スピーカーに指向性があり、「波紋が全方向に均一に広がらない場合(C図)には、空中で二つの波紋がぶつかるとD図のような重なりかたでは、重なった部分に不均一な乱れが生じることがわかります。

 2本のスピーカーから出た二つの音をひとつにまとめるときに、「スピーカーのバッフル面の反射による指向性」や「ユニットそのものが持つ指向性」などが原因となって、スピーカーから広がる音にかなり大きな音量の偏りが生じるため、二つのスピーカーを適当な位置に置いただけでは、音波は正しく合成されず「音の広がりに歪みや濁り」が生じるのです。

E図

 しかし、スピーカーから発せられる音波に指向性があっても、音波の進む方向と重なる位置の「タイミング」を合わせてやれば、重なり方の関係が一致し「音量のムラ(位相の歪み)」が減少するのです。(E図)

 このモデルなら、レーザーセッターの使用でリスニングポジションのみならず、部屋全体の「音の広がりの歪みが減少」し、どの位置で音を聞いても「スピーカーの存在を感じさせない音場の広がりを実現」できる説明がつくはずです。

 

l       ルーム・アコースティックを整えよう

ルームチューンの基本

 スピーカーの音は水面を波紋が広がるのと同じように部屋の中を進んでいます。もし、水面(部屋)が無限に大きいなら波紋はどこにもぶつからずに綺麗に広がってゆけるのですが、実際にはそんな大きな部屋は存在しませんから、波はいずれ壁に当たって跳ね返り、そのエネルギーが尽きるまで反射を繰り返して消滅します。
 反射した波(反射波)は、広がろうとする波(直接波)とぶつかり、混じり合い、新たな関係が生じます。それを「干渉」と呼び、干渉によって新しく合成される波のことを「干渉波」と呼んでいます。

部屋という水面に、音という波を綺麗に広げることを目的に、でたらめに発生している「干渉波」を調整し、

直接波と反射波がお互の邪魔をしないようにしようというのが、ここで説明するルーム・アコースティック調整法の基本的な考え方です。

ここからは、ルーム・アコースティック調整法という呼び方はやめて、「ルームチューン」という、もう少しスマートな呼び方に変えましょう。ルームチューンの方法には、大きく分けて次の二つが考えられます。

(1)スピーカーの位置を動かし壁や床との距離や角度を変えることで音質を改善する方法。

(2)スピーカーの位置を変えずに、吸音・反射パネルなどを使うことで周囲の環境を変え音質を改善する方法。


部屋の広さとスピーカーの大きさの関係

 話をルームチューンに進める前に、部屋に応じた大きさのスピーカーを選ぶことの大切さを説明しておきたいと思います。部屋を水面に、スピーカーの大きさを波に例えて説明しましょう。

 水面に波紋を綺麗に広げるための、水面(部屋)の広さと、波(音)の大きさには重要な関係があります。

 

プールでは思いっきり波を大きくしても波紋は綺麗に広がってゆきます。水面(部屋)が十分に広い場合には、音源が大きくても波紋の広がりに乱れは生じにくいからです。

しかし、浴槽で同じように大きな波を起こしたらどうなるでしょうか?浴槽の水面は、瞬時に大きく乱れてしまうでしょう。

 水面の広さが狭い場合には、波の大きさをあまり大きくすると波紋が綺麗に広がらなくなってしまうのです。

 この水面の大きさと波の大きさの関係は、部屋の大きさとスピーカーの大きさに当てはまります。

部屋に対してスピーカーが大きすぎるとそのスピーカーを上手く鳴らすのが非常に難しくなってしまうからなのです。部屋に波紋を綺麗に広げる(音場空間を広くする)ためには、部屋の大きさに応じたサイズのスピーカーを選ぶことが大切です。

特に音の広がりと、楽器の音が混濁しないような透明度を求めるなら、「音源が大きい=大型スピーカー」を狭い部屋に入れるのは避けなければなりません。

なぜなら、大型スピーカーはユニットの数も多く、またその位置も離れているため、リスニングポイントから見たときに音源が多重になることが原因で、狭い部屋では発生した音波が綺麗に重ならずズレを生じ、結果として空間は広がらず音も濁ってしまうのです。

 できれば、部屋の広さが8〜12畳以下の場合には、ユニットの数が少なく「点音源」に近いスピーカーか(ユニットの位置を近づけてあるPMCなどは最適)、2本の小型スピーカーとスーパーウーファーの組合せ(3Dシステム)などをお選び下さい。
 間違っても、狭い部屋に無理やり大きなスピーカーを入れないように注意してください。

 

波紋を綺麗に広げるためにはスピーカーと壁との関係が大切

 さて、先ほどの水面に波紋を広げるモデルを再び利用して、ルームチューンをもうすこし詳しく説明しましょう。
 洗い桶程度の小さな入れ物を用意し、その「水面を指でつつく」ようにして実際に波を立ててみましょう。
 まず始めに、一本の指で「洗い桶の中央付近」に波紋を起こしましょう。波紋は周囲に向かって綺麗に広がるはずです。次に指の位置を中央から、徐々に縁に近づけてください。波紋を起こす位置が中央から縁に近づけば近づくほど、波紋が綺麗に広がらなくなります。
 

 今度は、2本の指で波紋を起こしながらその指と指の間隔を広げたり狭めたり、あるいは指の位置を「洗い桶の中央や縁に近いところ」に移動しながら、「波紋の広がる様子」を観察してください。二本の指の間隔や、波を起こす位置によって、波紋の広がり方がずいぶん違うことを確認していただけたでしょうか?
 この実験では、洗い桶がリスニングルーム、波紋を起した指の位置がスピーカーの位置に相当しています。
 
 実験の目的は閉ざされた水面(部屋)では、波紋を起こす場所を変える(スピーカーの位置を変える)ことで、水面全体の波の乱れを減らすことができる(音の広がりを改善できる)ということを理解していただくことです。  

 

水平だけではなく垂直方向にも配慮が必要

 話を簡単に進めるため、まず「水平方向への音の広がり」だけについて話を進めましたが、音は水平方向だけではなく「垂直方向」にも広がります。

 そのため、壁とスピーカーの位置関係が音の濁りを減少させるために重要であったように、「垂直方向への音の広がり」を改善するには、「天井や床」と「スピーカー(ツィーター)」の位置関係(床や天井からの距離)に配慮することが大切です。

 これは洗い桶の縁に近いところで波を立てたとき、波紋が綺麗に広がらなくなったモデルを、縦方向に置き換えていただければ理解できると思います。

 先ほど申しあげたように、床に直に座ってステレオを聴くような場合や、サラウンドシステムのエフェクト(センター)スピーカーなどの設置時に、失敗を犯しがちなので十分に注意してください。

現在、スピーカーの高さを決めるひとつの指針となっている「ツィーターを耳の高さに合わせる」という方法は、そういう意味では少し説明不足です。
 なぜなら、正座のような低いリスニングポジションで耳の高さにツィーターを合わせた場合、スピーカーの位置が床に近くなりすぎ、床から高音が反射して「悪い干渉」を引き起したり、あるいは「低音が床を這う」などの原因で音が濁るからなのです。

 このようにスピーカーの位置が低すぎたり、あるいは天井に近すぎたりすると、上下方向への音の広がりが阻害され、音場が平面的になり、楽器の分離が悪くなります。スピーカーのツィーターが床や天井から少なくとも1m以上離れるように設置するか、床と天井の中間くらいになるような位置に、設置すると良好な音質が得られますのでお試しください。

 

スピーカーのセッティングは片方ずつ順番に行う

 さて、洗い桶の実験で「指の位置を変えた」時に水面を広がる波紋の乱れ方が変化することを体験しました。
 そして、
「綺麗に波紋が広がる指の位置がある」ことに気がつきました。つまり、リスニングルームの中でも「音が濁りなく十分に広がり、一切のストレスを感じることなく音楽を聴けるスピーカーの設置場所があり、それを見つけることが大切」だということなのです。 

 洗い桶の水面は「丸い形」でしたが、部屋は「長方形」ですから、洗い桶ではなく「浴槽」に波を立てることで、もっと現実的な実験を行うことができます。

これからその具体的な方法を説明しますが、この調整では2本のスピーカーを同時に鳴らすと、左右の音が混じり合って混濁するため、部屋の濁りがわかりにくくなりますから、必ず「片側ずつ」順番に行ってください。

では、部屋の音を良くするために、スピーカーの置き場所を少し変えて、壁や床天井などからの反射音の干渉を整えましょう。まず、ラジオの「ザー音」や「ピアノのソロ演奏のモノラル盤」などの「ホワイトノイズに近い音源」を用意してください。

 

◆ 調整法 [1] ◆

 片側のスピーカーから「ザー」音を流し、スピーカーの位置を変えながらその音の変化を聴いてください。スピーカーの角度をほんの少し変えたり、位置をほんの数o、あるいは数p動かすだけで、ノイズの「音」が大きく変わるはずです。この時、一度にスピーカーを大きく動かしすぎないように注意してください。

 

ノイズの音が「濁った音が混じったモーやジャーという音」から、「濁りの少ないサーやシャー音」に変わってきたら、それは悪い干渉が減って音が良くなってきた証拠です。 音源がピアノの場合には、「響きの濁りが減少し、タッチの強弱がハッキリする」ように聞こえるようになれば、スピーカーの位置が良くなったのです。
 この調整を順番に左右のスピーカーで行えば、音場の濁りが激減し「楽器の分離が向上、低音や高音がハッキリと聞きとれる」ようになるはずです。

 この調整方法はオーディオ・スピーカーのみならず、あらゆる音を出す機器の設置の基本です。
 ラジカセやミニコンポはもちろんのこと、パソコンやカラオケのスピーカーの設置位置も同じように、ノイズのような音を出しながら、その音が「澄んで聞こえるよう」に位置調整するだけで、明瞭度が高まり、聞き疲れがしなくなるはずです。

 

レーザーセッターを使い2本のスピーカーの位置関係を整える

◆ 調整法 [2] ◆

 レーザーセッターを使い、さらにスピーカーの位置調整を追い込んで音を良くしましょう。

1]の調整を行って、部屋とスピーカーの関係(壁からの距離と角度の関係)を整え「汚れた干渉」を減らした後、左右のスピーカーから広がる波紋を、綺麗に重なるように調整すれば、ステレオシステムは、あなたが信じられないほどの素晴らしい能力を発揮します。

 ◆ 調整法 [3] ◆

 [2]の調整でスピーカーの位置や角度を変えてしまうため、[1]の調整が「無効」になってしまいます。残念ながら、今のところ、一度に[1]と[2]を両立させる方法は見つけられていません。

そのため、面倒でも[2]の後に[1]をもう一度行い、その後にまた[2]を・・・というように、[1]と「2」の調整を繰り返して、小刻みにスピーカーの位置を変えながら、[1]と[2]が両立する「最良の妥協点」を見いださなくてはなりません。

 

さらにスピーカーの位置を微調整する

◆ 調整法 [4] ◆

 [3]までの調整を根気よく行った後、最後にもう一度、モノラル演奏のソフトを左右片Chずつ鳴らし比べてください。
 どうですか?左右で微妙に音色が違って聞こえませんか?もし、まだ左右の音色が違って感じられるなら、さらに微調整を行いましょう。

 もうここまでの調整でかなり集中力を使い果たしているはずです。もし、「疲れ」を感じるようなら、ここから先の調整は「後日体調が良く、やる気十分のとき」に行ってください。

 まず、必ず今のスピーカーの位置を「床にテープを貼るなどの方法でマーキング」して下さい。そして、そのマークの位置からほんの少ししかスピーカーを動かさないように注意しながら、[1]と[2]が両立し、さらに左右のスピーカーで別々にモノラル演奏を聞いたときの音が「ほとんど同じ」に聞こえるように、スピーカーの位置を追い込んでください。

最終確認のため「モノラル演奏」を再生すると!!!

どうですか???

 「仮想センタースピーカー」が出現したのかと思うほどコンパクトに、2本のスピーカーのど真ん中に「音像」が浮かび上がるはずです。

 この状態でステレオ録音のソフトをかけてみれば完全に「スピーカーは部屋から消えている」はずです。さあ、お気に入りのソフトを思いっきりお楽しみ下さい!

 もし、モノラルソフトの音像が「コンパクトに中央」に位置しているにもかかわらず、ステレオソフトの音像が散漫に感じられたとしたら、それはあなたのせいではなく「録音エンジニアの仕業」なのです。

 この素晴らしく調整された状態のステレオで演奏するマルチマイク録音が、「正しい位置にマイクを設置して行われたワンポイントステレオ録音(MS方式などは除外)」に勝るところはあるでしょうか?

 この調整を行わず買ってきたスピーカーを、任意の位置に「ポン」と置いただけでは、スピーカーはその性能の10分の1程度の能力しか発揮することは出来ないのです。

 まず機器の買い換えを検討する前に、面倒でもスピーカーのセッティングを追い込んでください。そうすれば、多くの問題が解消すると共に、残された問題点が明確に見えてくると思います。そして、有効な解決法を探しあぐねたときには、迷わず「逸品館」に助けをお求め下さい。きっとお力になれると思います。

響きを消さずに整えよう

 響きに重要なのは、高域のエネルギーです。しかし、普通の部屋では高域のエネルギーが不足しています。それは、「柔らかなカーテンや、薄い壁で高音のエネルギーは反射されずに簡単に吸収」されますが「低音はさほど吸収せずに反射される」という二つの理由で、部屋の中で音が反射を繰り返すときに、「高音から先に減衰してしまう」ためなのです。

 しかし、高音を反射させれば残響によって「高音のエネルギーが補える」といっても、美しさが考慮されたコンサートホールの残響とは違い、リスニングルームで生じる反射(残響)は音を濁す原因となる場合が多いので、まず先にある程度の吸音措置を講じるべきです。
 一番悪い(汚い)残響が発生するのは、「天井と床」や「壁と壁」など「距離の近い平行面」の間です。このような平行面の間では、音が何度も反射を繰り返して「フラッターエコー」が発生し音を大きく濁らせます。

 もし、リスニングポジションで、「パン」と手を打った時に、その音が左右の壁で反射して「ビンッ」と割れたような、濁ったような音に聞こえたら、両方の壁かどちらか一方の壁に吸音対策を講じなければ絶対に音が良くなりません。
 高価なオーディオ機器を手に入れたにもかかわらず、その良さを引き出せなかったほとんどの原因は、この「フラッターエコーの発生」によるものです。

 そこで、このフラッターエコーのように「音を濁す問題となる汚いエコー」は吸音し、不足する高音のエネルギーを「綺麗なエコー」を発生させることで補ってやれば、リスニングルームの高音と低音のエネルギーバランスは適正になるのです。
 大切なのは、「響きを消す」ことではなく、「部屋全体の響きを整える」ことなのです。
 低音と高音のエネルギーバランスが適正になれば、スピーカーの音がまるで「生演奏」のように、生き生きと輝き、躍動を始めるのです。

 

薄い壁の表面には吸音措置が必要

 もう一つ忘れてはならことがあります。それは、「薄い壁」が音を「反射」するよりも大きな音で、「共振」しているということです。

 バイオリンやギターなどの共鳴板を持つ楽器から、大きな音が出る原理をご存じですか?それは、弦の振動が共鳴板を共振させているからですが、「薄い壁」や「床」なども楽器の共鳴板と同じように、スピーカーから出た音のエネルギーで「振動」し「大きな騒音」を発生しているのです。

 壁や床がどれくらいの音量で「共振」しているかを調べるために、手のひらで「ドン」と叩いてみてください。「ゴツン」という詰まったような音がする壁なら、大きな問題はないと考えて大丈夫ですが、もし「カ〜ン」や「バ〜ン」、「ビ〜ン」というように、叩いた音が尾を引くように聞こえるなら、それは「壁や床が盛大に共振している証拠」なのです。
 この「共鳴音」を消さなければ、いくら高価な機材を買い込んでも絶対に音は良くなりません。

 この「共振」がたぶんリスニングルームで「音を濁らせる一番大きな原因」になっているはずなのですが、うかつにも今までそれを見過ごしていました。 

 それを教えてくださったのは「サーロジック・村田さん」です。彼は長年スタジオやコンサートホールの設計と音響調整の仕事を続ける中で、この事実に気づいたそうです。響きが部屋の音を良くすることを教えてくださったのも村田さんなのです。

 この「共振」する、薄い壁や床の悪影響を防ぐ方法はただひとつです。その表面に「厚手の柔らかいカーテン」や「厚手のカーペット」などを敷いて共振をおさえることなのです。太鼓の表面を毛布で覆うと音が出なくなるのと同じ理屈です。部屋の見かけを変えるのがどうしても嫌な場合は、レゾナンスチップや、フェルトの端切れなどを張ることでも、ある程度の効果はあります。(貼り付ける位置は、「振動の腹」です)

しかし、やはりそれでは響きの成分が不足しますから、乱反射パネル(サーロジック FWパネル)を使って、反射を補ってください。このパネルは壁にぶつかる音のエネルギーを吸収する働きもありますから、相乗効果で非常に大きな改善が見込めます。

 

 

視覚と聴覚の連携

  目を閉じてものを食べることには恐怖感を覚えますが、それは「あらかじめ食品を見ておくことで、事前に味覚と嗅覚のフォーカスをその食品に合わせておく」ことができなくなるために、心理的なとまどいを生じるからなのです。

聴覚と視覚も、味覚と嗅覚と同じように、かなり強い関連性を持っており、音の方向性や広がり感には「視覚」が大きな影響を与えています。

また、良くある相談の「片側だけに壁があるため音像が中央に定位しない」という問題でも、視覚による心理的な影響がほとんどで、レーザーセッターを使って精密にスピーカーを位置決めした後で、目を閉じてチェックをすればまず間違いなく音像は中央に定位します。

 

スピーカーケーブルの長さが左右で違うと、音像が中央に定位しないというのも、ほぼ100%心理的な影響によるもので、高品質なスピーカーケーブルなら左右で長さが2倍以上違っても、やはり問題なく音像は中央に定位します。
 スピーカーケーブルの長さを同一にせず、アンプとスピーカーの距離に合わせることで、スピーカーケーブルの長さは短くて済むので無駄な出費を避けることができます。また、ラックやスピーカーの後ろでとぐろを巻くこともなく、見栄えも良くなるので、断然お薦めいたします。

逸品館の試聴室では左右のスピーカーケーブルの長さを同一にしていませんが、訪れるお客様から、音像定位が抜群によいという評価を得ています。

また、AVシステムでも同様に、音の定位感や広がり感がずいぶんと見た目に引っ張られますから、音質チェックを行う場合には映像を消してください。

 映像を消した途端に音の方向性や定位感が損なわれたり大きく変化するようなら、スピーカーの位置を再調整した方がよいでしょう。「映像の中心」と「音の中心」がずれたまま長時間映画などを見続けると、大きな疲労感を覚えることになります。

まれにオーディオ雑誌などで「スピーカーケーブルの長さの左右同一」から始まって、電気的な条件の同一性や潔癖性に執拗なまでのこだわりを見せる評論家や技術者を見受けますが、その説明は無意味です。

 ケーブルの長さや、インピーダンスの不適合など、電気的な条件の不一致は、ルーム・アコースティックなどの「音の反射の影響の大きさ」から見れば、実に微々たるものなので、それが故障の原因とならない限り、聴感で大丈夫と感じられるなら自信を持って無視していただいて結構です。 

 

FWシリーズ

3号館展示中

455mm、厚さ70mmのパネルが1枚です。写真は2枚。

蝶番付きタイプはLVと同じように自立します。

●型番の数字は高さ(mm)

● FW1200が標準サイズ 

製品名

1枚

2枚

蝶番付き

FW600

20,000-

35,000-

39,000-

FW1200

25,000-

45,000-

49,000-

FW1300

30,000-

55,000-

59,000-

FW1500

32,500-

60,000-

64,000-

n         楽器が奏でた音は、無指向性の球面波としてホール空間に拡がり、その豊かな響きが楽器に表情と定位を与えます。

n         客席では間接音(残響)のエネルギーが直接音より10倍(ベストポイント付近)〜100倍大きいのですが、直接音主体のスピーカーよりも豊かな表情と自然体の定位感がえられます。

n         縦軸収束、横軸拡散のFW1200パネルをスピーカーの後ろに配置すると、生楽器に近い球面波の質感がリスニングルームに付加されます。

n         ミッドバスより上の音像が垂直方向に引き伸ばされ緻密になると、横軸の分解能しか持たない人の耳は楽器の定位が向上したと錯覚します。

n         高音の乱反射成分がホールに似た拡散音場を作り出し、躍動感のあるオーディオシステムを構築します。

n         左右のスピーカーの後ろに2枚、センターに1〜2枚が標準配置です。壁に立て掛けるか、蝶番で連結して自立させます。

 

反射パネルの使い方と効果

反射パネルの設置位置は、「左右のスピーカーの中央@と背後A」・「リスニングポジションの背後B」の「5枚」がベストです。いきなり5枚を導入するのが無理な場合には、まず「スピーカーの中央@に1枚」から始めて、次にスピーカーの背後A、リスニングポジションの背後Bと増やせば良いでしょう。

 

 まずパネルを@の位置に設置してください。ボーカルや楽器など「センターから来る音」が立体的になり、明瞭度が大きく向上します。楽器の表現力や、音のエネルギー感が大きく増大します。ボーカル・ベース・ドラムなどがグングン前に出てきます。パネルを置くことで、圧迫感が生じるイメージがありますが、実際は全く逆でパネルの方向に空間が広がり、楽器の音に芯が出て実在感が大幅にアップします。

 次にAの位置にパネルを増設すると、サウンドステージが左右に大きく広がるようになり、音場の立体感が目覚ましく向上します。

 最後にBの位置にパネルを追加すると、背後への音の広がりが大きくなり、リスナーを中心に「球状」の音場空間が出現します。楽器などの音色が、非常に生々しくなり、色彩感や躍動感が大幅にアップします。

 

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