考え方1
「プール」に手を入れて波を起こしたら、波紋は綺麗に広がります。もし浴槽で同じように波を起こしたらどうなるでしょうか?波は「浴槽の縁で反射」し、「進む波」と「反射して戻る波」がぶつかります。連続で大きな波を起こせば水面は大きく波打ち「波紋は、形がわからなくなるほど乱れてしまう」でしょう。
これから行う「スピーカーのセットアップ(位置調整)」の目的は、「スピーカーから出た音(進んでゆく波)」と「部屋の壁で反射した音(反射して戻る波)」を「出来るだけ綺麗に重ねる(重なりの波紋を乱さない)」ことにあります。「波紋が綺麗に重なっているイメージ」を現実にできれば「濁りなく広がる音場空間」が実現するのです。
波紋が綺麗に広がる第一条件は「波紋が反射しない」ことです。もし、リスニングルームの壁を全部吸音できれば「反射波」が消え波紋が綺麗に広がるように思えますが「全吸音」という技術はありませんし、第一「吸音し過ぎる」と「肝心な音のエネルギー」まで消えてしまって、音楽が全然楽しくなくなってしまいます。そこで「スピーカーの位置を調整」することで「進んでゆく波」と「反射して戻る波」を「綺麗に重ねるテクニック」が必要になるのです。
考え方1
「プール」に手を入れて波を起こしたら、波紋は綺麗に広がります。もし浴槽で同じように波を起こしたらどうなるでしょうか?波は「浴槽の縁で反射」し、「進む波」と「反射して戻る波」がぶつかります。連続で大きな波を起こせば水面は大きく波打ち「波紋は、形がわからなくなるほど乱れてしまう」でしょう。
これから行う「スピーカーのセットアップ(位置調整)」の目的は、「スピーカーから出た音(進んでゆく波)」と「部屋の壁で反射した音(反射して戻る波)」を「出来るだけ綺麗に重ねる(重なりの波紋を乱さない)」ことにあります。「波紋が綺麗に重なっているイメージ」を現実にできれば「濁りなく広がる音場空間」が実現するのです。
波紋が綺麗に広がる第一条件は「波紋が反射しない」ことです。もし、リスニングルームの壁を全部吸音できれば「反射波」が消え波紋が綺麗に広がるように思えますが「全吸音」という技術はありませんし、第一「吸音し過ぎる」と「肝心な音のエネルギー」まで消えてしまって、音楽が全然楽しくなくなってしまいます。そこで「スピーカーの位置を調整」することで「進んでゆく波」と「反射して戻る波」を「綺麗に重ねるテクニック」が必要になるのです。
考え方2
「浴槽」でさらに実験しましょう。「浴槽の中央付近」で波を起こします。波は周囲に向かって綺麗に広がるはずです。波の発生位置を中央から徐々に縁に近づけると、発生源が縁に近づけば近づくほど「進む波」と「反射する波」が「激しくぶつかる」ようになり「重なりに乱れが生じ」広がりが妨害されるはずです。
しかし「波の発生源が浴槽の縁に近づくに比例して乱れ(妨害)が大きくなる」のかというと必ずしもそうではありません。「波の大きさ(音量)や細かさ(周波数)」によりますが、波の発生源の移動に伴って「重なりが大きく乱れる位置とそうでない位置が周期的に現れる」はずです。重なりが大きく乱れる波の発生位置が「音の悪いスピーカーの設置位置」で重なりの乱れが少ない位置が「音の良いスピーカーの設置位置」なのです。
次に左右の2本のスピーカーを連想しながら、右手と左手で2つの波を起こし、波と波の間隔を広げたり狭めたり、あるいは波を起こす位置を「中央〜縁に近いところ」とさまざまに変えながら「波の重なる様子(波紋の重なり)」を観察してください。やはり、波を起こす位置関係によって「波紋の重なりの乱れ」がずいぶん違うことが確認できるはずです。この実験でスピーカーの位置を変えるだけで、その他の条件は一切変えなくても、水面での波の重なりの乱れ方を変えられる(音の広がりを変えられる)ことが理解(確認)できるはずです。
部屋とスピーカーサイズの関係
「浴槽」での実験で「波(音量)を大きくすると」と「水面の乱れが比例して大きくなる」ことがわかります。また、「波の発生源(スピーカー)の数」」が増えるに比例して「水面に乱れが生じやすくなる」ことも理解できると思います。この現象から大型スピーカーを小さな部屋に入れると、「水面(部屋)に対し大きすぎる波紋(スピーカーが大きいと音源も大きい)が生じる」ため、音が広がらず定位も悪くなる(波が綺麗に重ならない、広がらない)」という結果が予想できます。実際問題として、部屋に対してスピーカーが大きすぎるとそのスピーカーを上手く鳴らすのが非常に難しくなってしまいます。逆に「小型スピーカーは音の広がりや定位に優れる」と言われることもこの実験結果から容易に説明できます。
部屋に波紋を綺麗に広げる(音場空間を広くする)ためには、部屋の大きさに応じたサイズのスピーカーを選ぶことが大切です。つまり、音の広がりと楽器の音が混濁しないような透明度を求めるなら、「音源が大きい=大型スピーカー」を狭い部屋に入れるのは避けたほうが良いのです。部屋の広さが8〜12畳以下の場合には、できればユニットの数が少なく「点音源」に近いスピーカーか2本の小型スピーカーとスーパーウーファーの組合せ(3Dシステム)などを選ぶことで「非常にクリアで大きな音場」が実現します。間違っても、狭い部屋に無理やり大きなスピーカーを入れないように注意してください。
マルチチャンネル(サラウンド)で多数のスピーカーを使うときには、さらに注意が必要です。幅の狭いトールボーイ型のスピーカーや小さな2Way型スピーカー(密閉型が有利)と良質なサブウーファーの組合せがサラウンドには適しています。特に音の広がりに重要な意味を持つ「センタスピーカー」と「リアスピーカー」は「指向性のゆるやかな小型の製品」が望ましいのです。(小型で音の良いAUDIO−PROのIMAGEシリーズやユニットの位置を近づけてあるPMCなどはサラウンドに最適な製品)「必要な音量が出せる最小限度の大きさ」それが「透明で広がりのある音場空間を実現する」ためスピーカーに求められる大切な条件です。
考え方3
話を簡単にするために「水平方向への音の広がり」だけについて話を進めましたが、音は「水平方向」だけではなく「垂直方向」にも広がります。「完全なスピーカーの位置調整」には、「壁とスピーカーの位置関係」だけでなく「天井や床とスピーカーの位置関係(床や天井からの距離)」に十分配慮することが大切です。
スピーカーの高さを決めるひとつの指針に「ツィーターを耳の高さに合わせる」というやり方がありますが、正座のような低いリスニングポジションで耳の高さにツィーターを合わせた場合、スピーカーの位置が床に近くなりすぎて「高音が床から反射」し音が上下方向へ広がらなくなったり「低音が床を這って」音場が平面的になったり、楽器の分離が悪くなるなどの問題が生じます。耳より高くなるからといって恐がらず、スピーカーの位置をうんと上げ、ツィーターが床と天井の中間くらいになるような位置にスピーカーを設置すると、良好な音の広がりと定位が得られることが多いので、一度お試しください。
考え方のまとめ
浴槽の実験で「指の位置を変えた」ときに水面を広がる波紋の乱れ方が変化することを体験しました。そして、「綺麗に波紋が広がる指の位置がある」ことに気がつきました。つまり、リスニングルームの中でも「音が濁りなく十分に広がり、一切のストレスを感じることなく音楽を聴けるスピーカーの設置場所が存在するということなのです。単純に「壁からスピーカーを離せばよい」というのではなく「周囲の反射物(壁・天井・床)」などからの「適切な距離」そして「二本のスピーカーの適切な位置関係」を見つけることが大切です。場合によっては「スピーカーをうんと壁に近づける方が音が良くなる(スピーカーをうんと壁に近づけても音が悪くならない)」場合もありますから、根気よく「色々な設置場所」をお試しください。